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頬の下に影ができるのはなぜ?
2026.09.11
皆さんこんにちは。Rビューティークリニック副院長の吉田です。今回は若い人でもしばしばお悩みの元になる「頬下のコケ」について解説していきます!
「頬下に影ができてしまう」というお悩み
「頬骨の下だけ暗く見える」
「頬の下に影ができて、疲れて見える」
「正面から見ると顔がゴツゴツして見える」
「昔より頬の凹凸が目立つようになった」
こうした悩みの原因は、必ずしも皮膚の色やくすみではありません。頬の下にできる影の多くは、頬骨や脂肪、皮膚・SMASなどの軟部組織によって作られた顔の凹凸に、光が当たることで生じる構造的な影です。
そのため、美白治療やレーザー治療を行っても、顔の立体構造そのものが原因であれば影は十分に改善しません。
頬の形を考えるうえで、まず知っておきたいのが「オージーカーブ」という概念です。
オージーカーブとは?
オージーカーブ(Ogee curve)とは、顔を正面よりやや斜めから見たときに、頬に形成される緩やかなS字状の曲線を指します。
若々しく立体的な顔では、頬骨周辺に適度な凸面があり、その下方には緩やかな凹面があります。
つまり、
頬骨周囲の「凸」→頬骨下の「凹」
という連続した曲面によって、横向きのS字に近いラインが形成されます。
これがオージーカーブです。
美容医療の文献でも、若々しい中顔面では頬骨周囲の適度な突出と、その下へ続く滑らかな凹凸によってオージーカーブが形成されるとされています。加齢によって中顔面のボリュームが減少・下垂すると、この滑らかなカーブが失われていきます。
重要なのは、頬骨の下にわずかな影があること自体は異常ではないということです。
むしろ適度な陰影は、
-
頬を高く見せる
-
顔に立体感を与える
-
フェイスラインを引き締めて見せる
-
平面的な顔貌を立体的に見せる
という美容的な効果を生みます。
問題になるのは、その凹凸が強すぎる場合です。
頬下の影が強いと、どんな印象になる?
頬骨下の陰影が適度であれば、顔に立体感を与えます。
一方、影が強くなりすぎると、
-
頬がこけて見える
-
骨張った印象になる
-
疲れて見える
-
老けて見える
-
頬骨が張って見える
-
顔がゴツゴツして見える
-
中顔面が痩せて見える
といった印象につながります。
特に上方の頬骨が強く突出し、その直下が急激に凹んでいる場合には、頬骨の下に濃い影ができます。
これは実際の皮膚色が暗いのではありません。
頬骨によって光が遮られ、その下にある凹面へ十分な光が届かないために、明部と暗部のコントラストが強くなっているのです。
したがって、このような影を改善するには、「影そのもの」を治療するのではなく、影を作っている三次元的な構造を分析する必要があります。
頬下の影ができる原因
頬下の影には、一つだけではなく複数の要因が関係します。
代表的なのが、
-
頬骨弓・頬骨体部の突出
-
バッカルファットの位置やボリューム
-
SMASから表層軟部組織の下垂
です。
実際には、これらが複合していることも少なくありません。
1.頬骨弓の突出
まず重要なのが、骨格です。
頬骨は、顔の正面側にある頬骨体部と、そこから耳側へ向かって伸びる頬骨弓によって構成されています。
この頬骨体部や頬骨弓が外側へ強く突出していると、顔の上外側に明瞭な凸面ができます。
その直下では顔面が内側へ落ち込むため、相対的に強い凹面が形成されます。
すると上方から光が当たったとき、
頬骨は明るく、
その下は暗く
見えるようになります。
この明暗差が強いほど、「頬の下に影がある」という印象になります。
アジア人に多く行われる頬骨縮小術でも、頬骨弓や頬骨体部の過度な外側突出を内側へ移動させ、正面・斜位から見た顔の横幅や輪郭を整えることが目的となります。
頬骨が原因の場合の特徴
例えば、
-
若い頃から頬下の影が強い
-
痩せても太っても影の位置があまり変わらない
-
斜め45度から見ると頬骨が強く突出している
-
正面から見て顔の横幅が頬骨部分で広い
-
笑っていなくても骨格的な凹凸が明瞭
といった場合には、軟部組織より骨格の影響が大きい可能性があります。
2.バッカルファットの位置・ボリューム
次に関係するのがバッカルファットです。
バッカルファットは、頬の深部に存在する脂肪組織で、咀嚼筋や表情筋の間に位置しています。
一般的に「頬の脂肪」とひとまとめに考えられがちですが、顔の脂肪は複数のコンパートメントに分かれており、加齢により位置が下垂してきます。
バッカルファットが下方へ張り出すと、頬骨直下に単純な「くぼみ」ができるというより、
上方の頬骨→頬骨下の凹み→さらに下方の膨らみ
という段差が強調されることがあります。
すると頬骨下の凹面に影が生じ、顔全体が凸凹して見えやすくなります。
特に笑っていない状態でも下頬部に丸い膨らみがあり、その上に明瞭な影が生じている場合には、バッカルファットを含む深部脂肪の影響を考えます。
3.SMASから表層軟部組織の下垂
若い頃には頬下の影がそれほど目立たなかったのに、年齢とともに強くなってきた場合には、軟部組織の下垂が大きく関係している可能性があります。
顔の皮膚の下には、皮下脂肪やSMASと呼ばれる筋膜性の層があります。
加齢に伴って、
-
皮膚の弾力が低下する
-
リガメント(支持靭帯)の支持力が低下する
-
深部脂肪が萎縮する
-
表層脂肪が下方へ移動する
-
SMASを含む軟部組織が下降する
といった変化が起こります。
中顔面では、深部脂肪のボリューム低下と表層脂肪の下方移動によって頬の突出が失われ、オージーカーブが平坦化していきます。
さらに表層組織が下垂すると、組織が均一な面として存在せず、
上方はボリューム不足、下方には組織が集積(結果的に波が打ったような)
という状態になります。
その境界に影が形成されるため、頬がこけているようにも、下頬が重いようにも見えることがあります。
SMAS faceliftは、こうした表層軟部組織の下降を再配置することを目的とした手術です。現代のdeep plane faceliftでも、下降した頬脂肪やSMASを上方へ再配置し、中顔面の輪郭を回復させることが主要な目的とされています。
「頬下の影」は原因によって治療がまったく違う
ここが最も重要です。
頬下の影があるからといって、「この凹みを埋めればよい」というわけではありません。
影を生み出している原因が、
-
骨なのか
-
脂肪なのか
-
軟部組織の下垂なのか
によって、治療方法は大きく異なります。
むしろ原因を誤認すると、治療後に影がさらに強くなることもあります。
代表的な治療が、
-
頬骨縮小術
-
フェイスリフト
-
バッカルファット除去
です。
頬骨が原因なら「頬骨縮小術」
頬骨弓や頬骨体部の突出が強い場合には、骨格そのものを変えない限り、根本的な横幅や突出は変わりません。
その場合に行われるのが頬骨縮小術です。
頬骨縮小術では、頬骨体部や頬骨弓を骨切りし、外側へ突出している骨を内側へ移動させて固定します。
ただし、頬骨は顔の軟部組織を支える重要な構造でもありますので、頬骨縮小術では「小さくすればよい」のではなく、顔全体の立体感を残しながら、突出しすぎている部分だけを調整することが重要です。
軟部組織の下垂が原因なら「フェイスリフト」
加齢によるSMASや表層脂肪の下降が主な原因の場合には、脂肪を減らすだけでは問題を解決できません。
必要なのは、下がってしまった組織を本来の位置へ戻すことです。
フェイスリフトでは、皮膚だけではなく、その下にあるSMASを剥離・移動・固定し、下垂した頬やフェイスラインの軟部組織を上方へ再配置します。
特に、「昔は頬骨が気にならなかったのに、年齢とともに急に影が強くなった」
という場合には、骨を削るより先に軟部組織の位置を評価する必要があります。
バッカルファットが原因なら「バッカルファット除去」
下頬部のボリュームが強く、バッカルファットの張り出しによって顔の凹凸が強調されている場合には、バッカルファット除去を検討することがあります。
バッカルファット除去では、口腔内の粘膜を切開し、深部にあるバッカルファットの一部を取り出します。
顔の皮膚を切開しないため、体表面に傷跡は残りません。
ただし、ここには非常に重要な注意点があります。
すでに頬骨下が強く凹んでいる人に、さらにバッカルファットを取れば、影が深くなる可能性があります。
つまり、
「頬下に影がある=バッカルファットを取る」
ではありません。
3つの治療は「同じ影」を治療しているわけではない
整理すると、こうなります。
| 主な原因 | 見え方の特徴 | 主な治療 |
|---|---|---|
| 頬骨弓・頬骨体部の突出 | 若い頃から骨格的に影が強い、頬骨の横張りが目立つ | 頬骨縮小・内方転位 |
| SMAS・表層軟部組織の下垂 | 加齢とともに影が強くなった、頬やジョールも下がる | フェイスリフト |
| バッカルファットの過剰・下方への張り出し | 頬下の下側に膨らみがあり、その上に段差ができる | 適応を選んだバッカルファット除去 |
実際には、この3つが同時に存在することもあります。
例えば、
頬骨がもともと突出している
+
加齢によって頬が下がった
という症例では、骨だけを小さくしても軟部組織の下垂は残ります。
反対に、強い骨格的突出があるにもかかわらずフェイスリフトだけを行っても、頬骨自体の横幅は変わりません。
「影」ではなく、影を作る構造を見る
頬下の影を治療するときに重要なのは、鏡に映った暗い部分だけを見ないことです。
影は結果であって、原因ではありません。
その影を作っているのが、
骨なのか。
脂肪なのか。
下垂した軟部組織なのか。
を見極める必要があります。
特にオージーカーブは、完全になくせばよいものではありません。
若々しい顔にも、頬骨周囲の凸面と、その下の緩やかな凹面は存在します。むしろ、その適度な凹凸が顔の立体感を作っています。目指すべきなのは、頬を完全な平面にすることではなく、
頬骨の凸面から頬下の凹面へ、光が自然に流れるような滑らかなオージーカーブを作ること
です。
まとめ
頬の下にできる影は、単なる皮膚のくすみではなく、顔の立体構造によって生じていることがあります。
適度な頬骨の突出と頬下の凹みは、美しいオージーカーブを形成します。
一方で、
-
頬骨弓・頬骨体部が強く突出している
-
バッカルファットが下方へ張り出している
-
SMASや表層軟部組織が下垂している
といった変化によって凹凸が強くなると、頬下の影が濃くなり、骨張った印象、疲れた印象、老けた印象につながることがあります。
治療は原因によって異なります。
骨格的な突出が原因であれば頬骨縮小術による内方転位、加齢による軟部組織の下垂が主体であればフェイスリフト、下頬部のバッカルファットの過剰や張り出しが主体であれば、適応を選んだバッカルファット除去を検討します。
大切なのは、「頬下に影があるから何かを減らす」という発想ではありません。
どこが突出し、どこが下降し、どこが凹んでいるために、その影が生じているのか。
顔を骨・脂肪・SMAS・皮膚という複数の層に分けて評価することで、その人に必要な治療が見えてきます。
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