鼻整形における移植の色々①～主に自己組織について

いつも御覧頂きありがとうございます。主に鼻整形を担当している銀座院副院長の吉田です。
今回は鼻整形に使用する移植材料について解説します。

移植材料はまず大きく分けて「人工物」と「自己組織」に分けることが出来ます。
人工物はシリコンやゴアテックスなどが挙げられます。
主に鼻背部には使用できますが、人工物の使用は鼻尖部への使用は推奨されません。
ですので、鼻尖部への移植材料は主に自家組織の移植が中心になります。
さてこの自家組織ですが、基本的には「軟骨」の移植が中心になります。

①軟骨の種類
軟骨は、組織学(顕微鏡的解剖学；細胞の組成などで分類する学問)的には次の三つに分類されます。
・弾性軟骨
・硝子軟骨
・線維軟骨
となります。この内、線維軟骨は背中の椎間板などが属し、鼻整形にはあまり関係しないので今回は割愛します。

さて、鼻尖の形成術として代表的なものに鼻中隔延長術があります。

この手術に使用する軟骨は主に
耳介軟骨、鼻中隔軟骨くり抜き、肋軟骨の選択肢があります。
どのように異なるのかを見ていきましょう。

	属性	硬さ	大きさ	厚み
耳介軟骨	弾性	柔らかい	中間(採取量による)	厚い
中隔くり抜き	硝子	中間	小(個人差が大きい)	薄い
肋軟骨	硝子	硬い	大	中間

それぞれ別にみていきましょう。

耳介軟骨は弾性軟骨に分類され、性質は鼻先の軟骨(大鼻翼軟骨)に近いです。なので、鼻先の手術に使用すると鼻先特有の柔らかさは維持されやすいです。量としても、採取量を調整できる点が使いやすくなります。その一方で、柔らかさ故に、形成力に関しては若干弱くなってしまいます。


中隔軟骨のくり抜きは、鼻尖の構造を支えるフレームを残して、内部の部分をくり抜いて摘出し、先端に移植する方法として重宝されています。メリットとしては、他の部位に傷を作らなくて済むということが挙げられます。硬さとしては、移植相手の鼻中隔の構造がそのまま連続するので、その意味では本来同様の構造ではありますし、耳介軟骨に比較して形成力も優れています。しかしながら、その硬さ故に鼻尖先端の可動性は若干制限されるというデメリットはあります。
また、鼻中隔延長術が必要となる患者はもともと鼻中隔軟骨が小さい傾向にあるので、延長軟骨としては移植量が不十分であり、耳介からの追加採取が必要となる可能性があります。


肋軟骨は胸の胸郭を構成する一部の軟骨で、組織学的には中隔軟骨を同様に、硝子軟骨に属します。
この材料は、採取する際に合併症などのリスクを伴うものの、変形後の再建など、軟骨の移植量が多く求められる際に重宝されます。
しかしながら、その硬さ故に鼻先の剛性や違和感が気になる可能性があります。また、採取部位の胸部は傷痕が残りやすい部位なので、胸部瘢痕のリスクも伴います。

②複合組織片(composite graft)
複合組織片はその言葉通り、皮膚と軟骨を包括した複合的な移植材料のことを指します。

採取部位は主に耳介前面の耳甲介の窪みで、皮膚と軟骨を一塊として採取します。
必要な量・形状に応じて採取を行い、対象部位に対して移植していきます。

ではこの素材ですが、鼻整形においてどのような場面で使うかというと、主に組織が不足した際に用いることが多いです。
具体例としては、
・鼻孔縁退縮
・高度の鼻柱退縮
・鼻孔狭窄・変形
・感染後拘縮などで肥厚化した皮膚
などの修正に用いる場合があります。


最も見る機会が多いのは、鼻孔縁退縮に対して行われる鼻孔縁下降術になるかと思われます。
この手術は鼻孔縁がせりあがっていて鼻の穴が大きく見えてしまうというお悩みの方によく用いられる手法になります。この施術は耳介表面から皮膚・軟骨を同時採取し、足りていない部分に移植することで鼻の穴を見えにくくします。

当院では、患者様ごとに最適なプランを提案させて頂きます。