1. はじめに
加齢に伴うたるみやシワを改善するフェイスリフト手術は、若返り治療として非常に人気があります。フェイスリフトにはさまざまな方法がありますが、近年注目されている方法としてDeep Planeリフトが挙げられます。
このコラムでは、Deep PlaneリフトとSMASリフトの基本的な違い、手術方法、効果、メリット・デメリットについて詳しく解説します。
2. SMAS(スマス)とは?
SMAS(Superficial Musculoaponeurotic System)とは、皮膚の下にある筋膜層のことを指します。この層は、様々な層とつながっており、顔の表情や皮膚の張りに重要な役割を果たしています。
- SMAS層は皮下脂肪の下に位置しており、筋肉の上層を覆っています
- 加齢によりSMAS層がたるむと、顔全体のたるみやシワの原因になる
- SMAS層を引き上げることで、より自然な若返り効果が期待できる
3. SMASリフト(SMAS Lift)とは?
SMASリフトは、SMAS層を引き上げてリフトアップを図るフェイスリフト術です。
🔹 手術方法
- 耳の周囲を目立たないようにデザインして切開
- 皮下脂肪を剥離してSMAS層を露出
- SMAS層を縫合・引き上げて固定
- 余分な皮膚を取り除いて縫合
🔹 効果
✅ 皮膚だけでなく、皮下組織や筋膜まで引き上げるため、自然な仕上がり
✅ ホホの弛みを引き上げやすい
✅ ダウンタイムはDeep Planeリフトよりは短い
🔹 メリット
✔ 効果が比較的長く持続(約5~10年)
✔ 自然な仕上がり
✔ 比較的侵襲が少ない
🔹 デメリット
❗ 皮膚の剥離範囲が広いため、内出血や腫れが出る
❗ 深部組織までアプローチしないため、重度のたるみには効果が限定的
4. Deep Planeリフト(Deep Plane Lift)とは?
Deep Planeリフトは、SMASリフトよりもさらに深い層(SMAS層の下層)にアプローチする手術方法です。皮膚、皮下脂肪、SMAS層を一体化して引き上げるため、より強力なリフトアップ効果が期待できます。

🔹 手術方法
- 耳の周囲を切開
- 皮膚、皮下脂肪、SMAS層を一体として挙上
- SMAS層の下の層(Deep Plane)で剥離を進める
- リガメントを切り離して、引き上げて固定
- 余分な皮膚を取り除き縫合
🔹 効果
✅ SMASリフトよりも強力な引き上げ効果
✅ 頬のボリュームアップ効果も期待できる
✅ 法令線やゴルゴラインに対して特に有効
🔹 メリット
✔ 効果が非常に長く持続(約10~15年)
✔ 頬のボリュームを維持しつつ自然な仕上がり
✔ 重度のたるみに対しても効果がある
🔹 デメリット
❗ 侵襲度が高く、ダウンタイムが長い(約2~4週間)
❗ 血管や神経に近いため、ダメージのリスクがある
❗ 熟練した医師でないと施術が難しい
5. SMASリフトとDeep Planeリフトの比較
項目 |
SMASリフト |
Deep Planeリフト |
対象層 |
SMAS層(筋膜層) |
SMAS層の下(Deep Plane) |
効果の強さ |
中程度 |
強力 |
持続期間 |
約5~10年 |
約10~15年 |
効果部位 |
頬・フェイスライン |
頬・フェイスライン・ゴルゴライン・法令線 |
ダウンタイム |
約1~2週間 |
約2~4週間 |
リスク |
低い(内出血・腫れ) |
神経損傷・血管損傷の可能性あり |
適応 |
軽度~中程度のたるみ |
中程度~重度のたるみ |
費用 |
比較的安価 |
比較的高額 |
6. どちらが適しているか?
✅ SMASリフトが適している人
- 40代~50代の軽度~中程度のたるみ
- ダウンタイムを短くしたい
- 自然な仕上がりを求める
✅ Deep Planeリフトが適している人
- 50代以降の重度のたるみ
- より長期的な効果を求める
- 頬のボリュームも改善したい
- 骨切り手術後の弛み(骨切りの際にリガメントを剥がされている可能性があるため)
7. まとめ
- SMASリフトは、比較的浅い層(SMAS層)にアプローチし、自然な仕上がりが特徴
- Deep Planeリフトは、SMAS層よりも深い層にアプローチし、より強力で長期的な効果が得られる
- 加齢の程度や希望する効果によって、適したリフト法を選択することが重要
自分に合ったリフト方法を選ぶためには、信頼できる専門医とのカウンセリングが不可欠です。どちらの手術もリスクとリターンを理解した上で、慎重に選択しましょう。