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オステオポールって実際どうなの?
鼻美容外科
2023.04.30
数年前に話題となったオステオポールをご存知でしょうか?
今回はそのオステオポールについて解説していきます。
①そもそもオステオポールとは?
正式な名称はOsteoplug-C®というもので、PCL(ポリカプロラクトン)という吸収性の素材で出来た直径7㎜程度のボールです。(※Osteoporeは会社名のようです。)
このPCL自体は吸収性の縫合糸として外科手術などによく用いられる医療用素材です。
よく話題に挙がるボール状のものは、その素材をメッシュ状に編み込んだ構造になっていて、その間隙に自己組織が入り込みつつ吸収されることによりいずれ自己組織に置き換わると言われています。
②実際に安全なのか?
そもそも鼻尖部の形成には使用可能な素材は決まっています。過去に鼻根~鼻尖・鼻柱までを覆うL字プロテーゼが多用されていた時期に、鼻尖の先端に圧負荷がかかり穿孔をきたした症例が多数確認されたため、現在は鼻尖部に人工物は用いない方針が基本となっています。
なので鼻尖部の形成にはそもそも自己組織を使うことが一般的ですが、このPCLボールを用いると自己軟骨を採取することなく鼻先を高く・細く出来るということで注目を集めました。
ですが、批判の声も実際には多く見かけるのも事実です。安全性について考えてみましょう。
まず最初にメーカーの取扱説明書を見てみましょう。
適応(INDICATIONS)の項には
indicated for the repair of neurosurgical burr holes. It is used to aid closure of post trephination burr hole defects and insertion of catheter after cerebral shunt operation.と記されています。
意味としては、そもそも脳外科の穿頭術後の頭蓋骨の穴を塞ぐために使うものであることが示されています。
また、禁忌(CONTRAINDICATIONS)の項には
Not indicated for load bearing anatomical sitesとして解剖学的に負荷のかかる部位は適応外とされています。
なので、そもそも鼻尖部には推奨されないと考えられます。
さてこのPCLボールはいずれ自己組織に置き換わるとされているのですが、いずれとは一体いつなのでしょうか?
他院修正での症例を考えると、挿入後3年程度経過していてもある程度そのままの形を維持していることが多い印象を受けます。
数年かけていずれ置き換わるにしても、置き換わるまでは人工物であるので、穿孔や菲薄化のリスクは否定できません。また、大鼻翼軟骨を圧排して変形させてしまうリスクもあります。
③実際の治療法
では、実際に発生する問題点とその主な治療法を見ていきましょう。
✅皮膚の菲薄化⇒筋膜移植
前述したように、鼻尖部は表情と共に進展力がかかるため、人工物が入っていると、皮膚に負担がかかり、穿孔のリスクがあります。
オステオポアはそのメッシュ構造の性質から、皮膚の裏面との癒着が強く、その癒着を剥がす際にも若干の真皮の構造は失われます。
そのため、傷んだ皮膚に対しての修復も必要になります。このためによく使用される素材が筋膜であり、この筋膜は身体の様々な部位から採取されます。側頭筋膜・大腿筋膜・表在乳様突起筋膜などがそれに当たります。
✅鼻尖部の軟骨の陥凹変形⇒tip supportの再建
オステオポアは支える軟骨側にも負担をかけてしまいます。鼻先の軟骨である大鼻翼軟骨のドーム部を圧迫し、陥凹したような変形を起こさせるケースがあります。この場合は鼻尖を支える力が弱いので、再建が必要になります。
再建方法としては、コルメラストラットという方法や、鼻中隔延長が適応になります。
当院では、患者様の状態に応じて適切な治療法を提案させて頂きます。
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